大手私鉄では、多くの有料特急列車が走っています。
その多くは自社線内で完結するものが多いと思いますが、
今回紹介する車両は、自社線内でも十分範囲が広すぎるのに、そこから先の別の地方まで走り抜ける特急にも使われる、驚愕の運行範囲を走る私鉄の特急型電車です。
その特急型電車は、今まで特急列車が走ることが無かった3路線にも乗り入れを行って、
まさに利用者に革命を起こした凄すぎる電車となっていますので、そこの部分も紹介していきます。
よろしくお願いいたします。
浅草駅
ここは、東武スカイツリーラインの始発駅:浅草です。
8時12分 3番線に今回乗車する特急がやってきました。
8時30分発 特急リバティきぬ109号 鬼怒川温泉行きです。
特急リバティとは
東武500系「Revaty」は、2017年にデビューした特急型電車です。
愛称の「Revaty」は
- 「Variety(バラエティ)」(併結・分割機能を活かした多線区での運行)
- 「Liberty(リバティ)」(東武の路線を縦横無尽に運行する自由度の高さ)
の2つを掛け合わせた造語となっています。
下今市駅で、東武日光行きと鬼怒川温泉方面・会津田島行きの分割・併合が行われ、需要に応じた細かい運転に対応。
これまで、伊勢崎線系統と日光線系統で分かれていた車種を、この「Revaty」で統一、ビジネスと観光を両立させ、
次世代の東武特急を担う汎用型特急型電車となっています。
個人的には、汎用と言う言葉より、万能と言った方が分かりやすいかなと思っています。
「Revaty」の革命的な凄さのまとめは、記事後半にて紹介していきます。
車内:客室
電球色の落ち着いた間接照明と、温かみのある木目調、雄大な大地や樹木をイメージした木目を配置ています。
座席モケットは、江戸の伝統色「江戸紫」を採用、両毛や日光の自然と、東京下町のイメージを融合させています。
天上の形状は、隅田川や鬼怒川の流れをイメージしたものです。
各号車客室には、キャリーケース等の大型荷物置き場が設置、日光や鬼怒川温泉へお出かけの際にも、安心して荷物を置くことができます。
デッキと客室の間の扉上部には、フルカラーLEDによる案内表示機があります。
英語、中国語、韓国語の表示を行います。また、近年導入が進められている駅ナンバリングにも対応しています。
続いて、座席の紹介です。
肘掛けテーブルと背面テーブルの両方が備わっています。
テーブルを広々使ってのPC作業も、座席を向かい合わせにした時のテーブルの利用ができます。
また、テーブルをしまった際にも、飲み物を置くことができるドリンクホルダーもあります。
リクライニングの手前には、AC100Vのコンセントがあり、PC作業やスマホの充電をすることができます。
車内:デッキ 2号車トイレ等
リバティのデッキの紹介です。扉は明るい木目調で、落ち着いた感じがあります。
2号車デッキの紹介です。お手洗い等は、全て2号車(5号車)に集中しています。
車いす対応多機能トイレは、横方向にも縦方向にも広い作りとなっています。
また、ウォシュレットにも対応、ベビーベッドも備わっており、オムツの交換もできます。
1号車との境界付近には、男女共用トイレがあります。ベビーチェアとベビーベッドがあります。
こちらも、多機能トイレ同様にウォシュレットです。
男性用小便トイレです。特に狭く暗くなりがちなトイレ内も、明るく清潔な印象です。
全トイレ共に、車内と同様の木目調デザインと明るい照明で、トイレ特有の圧迫感がありませんでした。
特急リバティきぬ109号に乗車 乗り心地レビュー
浅草駅発車
8時30分 浅草駅を発車。極めて急なカーブをゆっくりと通過していきます。
その直後、隅田川を渡ります。
発車前から自動放送が行われていますが、進行方向左側から東京スカイツリーを見ることができます。
今回は右側の通路側に座っていたので見れませんでした。
約3分後 東京スカイツリー駅に到着 数名が乗車してきます。
その後、京成押上線と少しだけ並走し、曳舟に近づきます。
曳舟では、田園都市線、半蔵門線からの直通電車を追い抜かしました。
その後、ゆっくりと下町を走り5路線が交わる、北千住に到着です。
北千住到着
1番線の奥にある、特急専用ホームに到着です。ここから、多くの方が乗り込み車内が賑わいます。
北千住駅発車後、荒川を渡ります。
ここから北越谷までの18.9kmは、私鉄では最長の複々線となります。
先ほどまでとは打って変わって、100km近くまで一気に加速していきますが、高速走行時もかなり静かでした。
また、アクティブサスペンションが搭載されていることもあり、揺れがかなり抑えられていて、かなり乗り心地もかなり良いです。
上下4線が新しい高架線に移った竹ノ塚駅を通過します。
北越谷駅を通過、複々線区間は終わり、沿線風景も少しずつ田畑が見られる郊外の景色となります。
春日部駅到着
9時03分 東武アーバンパークラインとの乗換駅:春日部に到着です。
これまで、東武アーバンパークラインでは特急列車はありませんでしたが、
2017年のリバティがデビューする際に、平日夜限定で、浅草~大宮・柏と大宮~柏を結ぶ、特急アーバンパークライナーが運行を開始、
浅草発は、春日部駅で大宮行きと柏行きに分割されて、フレキシブルに運転がされています。
アーバンパークラインに特急列車が運転されるようになったのは、特急リバティが起こした革命の一つと言えるでしょう。
この春日部駅では、2号車(5号車)のみ扉が開きます。
春日部では多くの方が乗車し、車内はほぼ満員となりました。
春日部駅発車後、数分で東武動物公園駅を通過…信号待ちのため停車しました。ドアは開きません。
東武伊勢崎線と日光線は、ここ東武動物公園で分かれて行きます。
2020年までは、リバティけごん東武日光行きとリバティりょうもう館林行きの連結運転が、1日1本運転されていましたが、廃止となりました。
フレキシブルさを活かしたリバティらしい運転でした。
東武動物公園を通過してから、景色が一気に田畑が広がる田園風景となりました。
田園都市線・半蔵門線でよく聞く行き先、南栗橋を通過、南栗橋車両管区の横を走ります。
3月改正を持って引退した350系や、東武博物館所有の8111Fが留置されています。
宇都宮線の回送電車と並走しながら、栗橋駅を通過。
1日4往復運転されているJRとの直通特急は、栗橋駅の連絡線を通ることが知られています。
その後、利根川を渡ります。
栃木駅到着
春日部から35分 栃木に到着しました。
JR両毛線との乗り換え期の他、蔵の街、小江戸の町として知られています。
栃木駅発車後、東武宇都宮線が分かれる新栃木駅を通過。
2020年までは、浅草~東武宇都宮間では、特急しもつけが走っていましたが廃止となりました。
リバティに置き換えられるのかと思いましたが、廃止になるとはまさか思いもしませんでした。
新栃木出張所には、2022年の改正を持って、東武線内での運行を終えた(鬼怒川温泉~新藤原除く)6050系が停車していました。
このリバティは、2017年のデビュー時に、6050系による、浅草~東武日光・新藤原・会津田島(福島県)間の快速電車を置き換えました。
それにより、野岩鉄道と会津鉄道線内に特急が4往復運転されるようになり、利便性が向上しました。
浅草~会津田島の特急リバティ会津は、運行距離190kmで、日本の私鉄特急で長い距離を走る特急になります。
福島県まで東武特急が足を延ばすようになったのも、リバティが起こした革命の一つですね…
続いて、新鹿沼駅に到着。ここから景色がまた変わります。
その後は、勾配が連続する山岳区間になります。カーブが多くなるこの区間でも、安定した乗り心地で勾配を登っていきます。
放送が鳴り、下今市駅が近づくと、SL大樹の拠点:下今市機関区が見えてきます。
下今市駅到着 下車
10時12分 浅草から1時間42分 下今市駅に到着。日光へ向かうため、ここで下車します。
乗ったリバティは、鬼怒川温泉まで進みます。先ほど言った通り、リバティ会津号では、野岩鉄道、会津鉄道まで直通し、福島県南会津の会津田島まで乗り入れます。
乗換↓
まとめ リバティの革命と運行範囲の広さ
- 分割併合で細かい運行需要に対応できるようになった
- 東武アーバンパークラインに特急列車ができた
- 野岩鉄道・会津鉄道に直通、東武特急が福島県まで足を延ばすようになった
東武特急に3つの革命をもたらしたことになります。
また、2020年度より、「りょうもう」に使われている200系の置き換えもスタートし、
伊勢崎線系統の半数の特急にも使われるようになりました。
運行範囲
- 浅草~東武日光・鬼怒川温泉・会津田島(会津鉄道)
- 浅草~太田・赤城・葛生・伊勢崎
- 浅草~大宮・柏
東武本線系統のほとんどの路線で走っている、運行範囲が極めて広い特急型電車であることが分かります。
現在、100系スペーシアの一部の置き換えも行われ、将来的には、JR直通特急に使われるという噂があります。
分割併合を活かして、新宿発東武日光行きと鬼怒川温泉行きの2階建て列車ができたら面白いなと思います。
今後の車両増備、ダイヤ改正等で、リバティの万能さをどう活かすのか、趣味的に大変面白いので見守っていきたいところです。
個人的に、太田分割で伊勢崎行きと赤城行きの連結運転や、春日部分割か東武動物公園分割で伊勢崎線と日光線の連結運転が見てみたいです。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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