乗車日 2022年1月07日
みなさん、こんにちは!keitrip/須田 恵斗です。
国鉄時代、日本全国に配置された一般型気動車キハ40系列、昔ながらのローカル線、秘境路線の代名詞とも言うべき存在のキハ40系列は、
頑丈かつ重い車体に対し、非力なエンジンを搭載していたため、鈍足な車両として有名です。
そして分割民営化後にJR各社で、多くの車両でエンジンや変速機の交換が行われて、性能の向上が図られました。
今回は、JR北海道を走る、キハ40とは思えない加速のキハ40系の紹介です。
苫小牧駅から乗車
札幌から特急北斗で約50分、苫小牧駅に到着。
今回乗るのは1番線からの、日高本線鵡川行き。2021年の運休区間の廃止で、日本一短い本線を名乗る路線として話題になっています。
乗り換え時間はわずか2分ということで、急いで乗って行きましょう。
車内は割と普通でした
車内に上がっていくと、運転台後方には、ワンマン運転用の運賃箱と整理券発行機が置かれています。
車内は、ボックスシートとロングシートの座席配置で、至って普通です。
極寒地の車両らしく、デッキが残されていました。
鵡川寄りの運転台後方には、便所があります。
中は和式となっており、利用者としては変わったところはありませんが、水タンクが屋根から車内に移設はされたようです。
運転台周りですが、ワンマン設備やATS-DNの追設で若干ごちゃごちゃしていますが、こちらも特に変わった部分はありません。
10時19分 苫小牧発車 衝撃的な加速音
10時19分 すべてのボックス席が埋まり、苫小牧を発車。
エンジンが唸り始めて加速、60kmまでエンジンを全力でぶん回し、変速段でゆっくり加速、直結に入ってからは、加速と共にエンジン音が徐々に上がっていくのかと思いきや、
フルノッチに入ると勢いよく速度が上がっていきます。
そして30kmあたりで、変速から直結1段に、50kmあたりで直結2段、70kmあたりで直結3段と速やかにシフトチェンジをして行きます。
さすがに、道内を走るキハ150やキハ54には若干劣るものの、勢いよくシフトチェンジしていくので体感が速く感じます。
あっという間に速度が上がり、苫小牧貨物駅の横を通過します。苫小牧貨物駅を通り過ぎる頃には、最高速度85kmまで上がります。
今回乗っているキハ40系は1700番台を名乗っています。
1700番台とは、100番台車をワンマン運転仕様に改造した700番台を、2003年~2012年にかけて行われた延命工事で誕生した区分です。
エンジンをDMF15HSA(220馬力)からN-DMF13HZI(330馬力)に交換、出力が単純計算で1.5倍に増え。
変速機が、DW10(変速1段直結1段)からN-DW40(変速1段直結3段)に交換、燃費の向上が図られました。
その後、日本製紙 北海道事業所 勇払工場 が見えてきます。
苫小牧から11分で勇払に到着。先ほどの日本製紙につながる専用線が分岐していた駅になります。
苫小牧~浜厚真間は、苫小牧西港開港に伴い、昭和37年に内陸部に切り替えられた新線区間、この勇払駅は2代目の駅になります。
かつての日高本線は、苫小牧駅を発車したら、すぐに大きく右へそれて海岸に沿って走っていたようです。
新工法右側に、北海道電力 苫東厚真発電所の敷地が見えてきます。
ここは、石炭火力発電所、備蓄されている石炭の山を見ることができます。
火力発電所の直後には、苫小牧東港が見えてきます。苫小牧東港は、新日本海フェリーの苫小牧東港~敦賀港航路が発着する港になります。
西港から東港までタクシーを使うと、約6,000円かかるようです。かなり離れていることが分かります。
その後、白く覆われた厚真川を渡ると…
浜厚真駅に到着。全国のローカル線あるあるの、元車掌車の待合室になります。
鵡川20:57発 最終の苫小牧行きは通過となります。
浜厚真駅から苫小牧東港までは、歩ける距離ですが、街灯もない真っ暗闇を進むことになります。
そこはおとなしく、苫小牧駅からタクシーを使いましょう。6,000円で命を守れたと思えば安いものです。
その後、国道235号線と並走し、むかわ町に入ります。
浜田浦駅に到着。一部列車が通過となる駅です。
通過列車一覧(2021年3月ダイヤ改正)
- 下り 鵡川行き 8本中2本 苫小牧駅 5:45発 7:52発
- 上り 苫小牧行き 9本中3本 鵡川駅 8:37発 19:58発 20:57発
その後も、多くの工場を見ながら進むと次は鵡川駅です。
道中では、何度も鹿が線路に侵入、何回も急ブレーキがかかりましたが、
新しいエンジンと変速機で、割とすぐに速度回復します。
苫小牧駅到着
10時52分 3分遅れて終点・鵡川に到着。
2021年に正式に、鵡川~様似間が廃止…
これより先、もう二度と列車が走らないと思うと寂しくなります。
駅待合室には、むかわ町のパンフレットや…
日高本線の写真が飾られていました。
多くの一般型気動車の他、多くのリゾート気動車が走っていたのを知り驚きました。
その後、急いで10時57分発 苫小牧行きで折り返していきました。
帰りも、何度も鹿と遭遇で急ブレーキがかかり、並走区間で乗車予定の北斗に抜かされました。
そしてなんとか間に合いました。北海道では野生動物との遭遇や接触で、うまく接続できないことが多いです。
北海道の鉄道旅をする際は気を付けてください。
まとめ
変速機やエンジンの交換などで、性能強化、延命が図られたキハ40系。
ですが車体の老朽化が進み、2020年3月には新型電気式気動車H100系 DECMOが導入、函館本線小樽~長万部(通称・山線)など元々キハ40系が走行していた区間に投入されて、徐々に数を減らしています。
車体や車内は味があり、動き出してみると新型気動車のような、少し不思議なキハ40系ももうそろそろです。
北海道に行った際には、ぜひ乗ってみてください。