【地方から首都へ転用】上京を果たした2両のローカル電車 E127系南武支線を見てきた

2022年3月12日のダイヤ改正。フラッグシップロマンスカーVSEの定期運行終了などの、日本各地で大きくダイヤが変わりました。

新潟地区では、電車の普通列車が、2014年に登場した新型車両のE129系に統一。
これまで運用されてきた115系とE127系が、運用を終了しました。

E127系の動向ですが、このまま廃車になるのでは、と噂されていましたが、2023年9月13日、首都圏の南武支線に転用されました。
地方から首都圏への、普通とは逆の転属が行われたことなどで、わずか4.1kmの短い南武支線が注目を集めています。

今回は、南武支線にやってきたE127系に乗る機会があったので、様子を紹介します。

E127系0番台とは

E127系は、0番台が1995年より新潟地区にて、100番台が長野地区大糸線を中心に、1998年より営業を開始した2両編成の通勤型電車です。

今回は、南武支線に転用された0番台を解説していきます。

このE127系0番台は、2両編成13本が製造。
ワンマン設備を活かし、新潟近辺のワンマン列車として活躍したり、オールロングシートを活かして、3本つないだ6両編成として走らせ、ラッシュ時の輸送を担うなど、
主な運行範囲が115系より狭いながらもオールラウンダーとして、新潟地区を様々な面で支えてきました。
なお、2008年に発生した、踏切火災事故により、V3編成が廃車となっています。

えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインのET127系

2014年に、待望の新型車両E129系がデビューし、大半が115系より、このE127系が先に置き換えられます。
2015年には、北陸新幹線が開通に伴い、信越本線の直江津~長野間が第三セクター会社に移行されました。
新幹線開業以降、同区間の内の、新潟県区間(直江津~妙高高原)を運営する事となった、えちごトキめき鉄道に10編成が譲渡され、ET127系としてデビューしました。
JR線に残った2編成(V12・V13編成)は、2022年ダイヤ改正までの間、弥彦線東三条~吉田~弥彦と、新潟車両センター入出庫関連運用の越後線新潟~吉田間の2両ワンマン列車として運用されています。

えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインのET127系では、2023年現在も2両を3本繋いだ6両編成の列車が走っています。

冒頭で述べた通り、2022年3月ダイヤ改正を以て、新潟地区での運用を終了。
このまましばらく休車となるかと思いきや、同年6月27日に、落雷によってE129系14両が一時的に使えない状態となってしまいました。
14両も突然使えなくなってしまっては、運用が回りません。

そのため、6月29日から11月30日までの間、運用を終了したはずのE127系4両が、上越線長岡~越後中里間にて臨時で運用されました。

それ以降大きな動きを見せませんでしたが、各種改造工事が長野で行われた後、鎌倉車両センター中原支所に転属し、2023年9月16日より南武支線で運用を開始し今に至ります。

南武支線にやってきたE127系

南武線尻手駅にやってきました。駅の川崎方から、都心では見慣れない2両の電車がやってきました。お目当てのE127系です。

ちょうど、南武線(本線)の立川行きと接続。E233系とE127系が同じホームに停まる光景は、これまではあり得なかった組み合わせです。

外観

新潟所属時代は、115系2次新潟色(通称キムワイプ)に合わせた緑の塗装でしたが、
転属するにあたり、南武支線に合わせた黄色と緑の帯に変更されました。

先代の205系では、緑の割合が多かったですが、このE127系では黄色の割合が多くなっています。

パンタグラフは交換されず、下枠交差型のパンタグラフのまま。
行先表示器も、手が加えられずに幕式のままとなっています。

205系1000番台は、シングルアームパンタ、3色LEDの行先表示器だったため、一見すると退化したかのような印象を持ちます。

南武支線は全列車ワンマン運転ですが、新潟地区やえちごトキめき鉄道とは違い、区別の必要がないため、ワンマンの表記がされていません。

新潟時代、ワンマン列車は無人駅停車中は、後乗前降でした。そのため、無人駅にて出入り口を示すための案内機があります。
南武支線では使う必要はありませんが、撤去されずに残置されています。

E127系は3ドア。予備車として1本残っている205系1000番台は4ドア。
扉の数が異なるため乗車列は3ドアにし、4ドア車が来た際には、その号車の真ん中の列だけ各ドアから乗車する形となっているようです。

所属表記ですが、近年のJRでは記載がされなくなり、この南武支線にやってきたE127系も表記がありませんでした。
なお、新潟車両センターの表記がうっすらと残っています。

内装

車内についての紹介です。つり革やモケットは、新潟時代の物をそのまま使っています。

205系1000番台では、晩年はE233系タイプの黒いつり革を使っていただけに、一見すると退化した印象を受けます。

形状は直管タイプですが、LED照明に交換。ドア付近には、照明一体型タイプの防犯カメラも設定されました。

無人駅で使う乗車整理券発券機ですが、転用の際に完全に撤去されています。

新潟時代にあった運賃箱・両替機

運転席後ろにあった運賃箱・紙幣両替機ですが、こちらも転用の際に完全に撤去され、金属板が設置されています。

新潟時代に設置されていた運賃表

無人駅で降車の際に使う運賃表示器も、完全に撤去されています。

ドアの開け閉めの際に使うドアボタンですが、南武支線でも、3/4ドア閉めの代わりとして長時間停車の際に活用するそうで、回路が活かされたまま残されています。

車内に設置してある洋式トイレですが、業務用室として封鎖されています。

新潟所属時代に設置されたATS-P。関連機器が設置スペースの都合上、一部の座席が撤去され、客室内に設置されました。

ATS-Sのみが使用されてきた新潟地区ですが、2018年4月15日に新潟駅が一部高架化された際、駅構内のみATS-P化されたため、E127系には改造されて取り付けられました。

E129系は製造時から統合型車上装置にて対応。115系はATS-Pが付いていた長野車を転属させ、在来車を玉突きし対応しています。

新潟時代は、一部区間のみでしか使われなかったATS-Pも、南武支線は全区間がPであるため、全線にてフル活用されることとなりました。
※弁天橋への入出庫で鶴見線を走行する際、鶴見線は本線上はATS-Pだが、浜川崎駅場内のみATS-Sとなっている

急遽臨時で運用に入った上越線も、越後湯沢駅、六日町駅、浦佐駅場内のみATS-P化されており、設置された保安装置が活かされた形となりました。

改造内容を見て行くと、内外装はほとんど手を加えず、使う必要がない機器のみを撤去する程度に留まっている事が分かるかと思います。

ギャラリー

地方私鉄に転属した感

運行開始を知らせるポスター

貨物列車が多数行き交う中、ひっそりと発車を待つローカル電車

おわりに

新潟で撮って乗った電車が、まさか私が住んでいる神奈川県にやってくるとは思いませんでした。
鶴見線では、E131系が近々投入されるという事もあり、川崎・鶴見近辺の鉄道も、ついに変わっていくのだなと実感しています。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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