みなさんこんにちは keitrip/須田 恵斗です。
今回は、乗車券のみで乗ることができる、非常に貴重な普通の客車列車の紹介です。
しかも、首都圏からであれば、割と気軽に乗ることできる、日常の列車です。
鉄道ができた初期の頃の旅客列車は、機関車が客車を引っ張る動力集中方式が一般的でした。
その後、客車に動力を積んだ形の、電車や気動車が開発。そのような電車や気動車は、動力分散方式と呼ばれています。
特に日本では、動力分散方式が積極的に採用され、令和になった今では、
客車列車は、SL列車やトロッコ列車などの観光列車・イベント列車のみとなりました。
乗車券のみで乗ることができる客車列車は、ほとんどありません。
今回は、冒頭の文言の通り、令和の日本に残る、極めて貴重な普通客レを紹介します。
極めて貴重な客車列車は、北関東の真岡鐵道
茨城県下館駅から栃木県茂木駅までの41.9kmを結ぶ、真岡鐵道真岡線。
真岡鐵道では、毎週土日に、SLもおか号を1往復走らせています。
首都圏から気軽に訪れられることもあり、多くの鉄道ファンや観光客で賑わう人気の観光列車ですが、
今回紹介する極めて貴重な普通客レは、このSLもおか号に関連して運行されるものです。
運転準備:始発の下館駅で入換開始
15時58分 茂木発下館行きのSLもおか号(復路)に乗って、下館駅に到着しました。
到着後すぐに、側線に停まっているDE10 1535が入換を開始しました。
側線から本線に出て…
ポイントの転換を確認後、SLもおか号と連結。
終点の下館駅到着後、運行を終えた、SLもおか号は、車庫のある真岡駅まで回送する必要があります。
そのため茂木駅同様、転車台を使って機関車の方向転換、機回り線を使って、機関車の付け替えを行いたいところですが、
この下館駅は、転車台と着回し線が無いため、回送用の別のディーゼル機関車DE10を、SL編成(SLの反対側)に繋いでいく必要があるのです。
これはこれで様になっていてカッコいいですね~
ついに貴重な普通客レに乗車
別の機関車に編成ごと引っ張ってもらうのは、他にもあるのですが、
なんと、このSLもおか号の車庫への送り込み列車は、回送ではなく、乗客を乗せる普通列車として運行します。
SLもおか号の乗車には、SL整理券が必要ですが、この送り込み列車は、普通列車として営業。
なんと、追加料金なしで、客車の列車に乗ることが出来てしまうのです。
このSLもおか号の運転日は、下館~真岡間の普通の気動車で運転される列車が、
下館行のSL列車(上り/復路)と、車庫への送り込み列車と時刻が被ってしまう関係で、1往復運休となります。
そして、運休となる時間帯は夕方で、特に下り茂木方面は、帰宅客で賑わいます。
それでは、普段からの利用客が不便になってしまうという事で、この真岡までの送り込み列車は、
茂木方面への利用客の利便を考慮して、普通列車扱いで営業運行をしているのです。
終点の真岡駅では、茂木行きに接続します。
なお、通常の普通列車と異なり、下館二高前、ひぐち、寺内の3駅は通過します。
SLもおか号は3両編成ですが、乗ることが出来るのは、車掌室が付いている最後尾の3号車のみです。
1号車と2号車は、清掃作業のため封鎖されています。
このSLもおか号に使われる50系客車は、JR東日本から譲渡されたもので、冷房が付いていなく車内はほぼ原形を保っています。
つまり非冷房で、冬以外は乗客の多くが窓を開けるため、車内には、SLから発生したすすが大量に入ってくるため、清掃作業も大変そうです。
そして50系客車は、登場当時走っていた客車で運行される普通列車を近代化するために開発されました。
このほぼ原型を保った50系客車に、乗車券のみで乗れるというのは、国鉄やJRで現役だった頃を思わせます。
最後尾にSLこそ繋がれてはいますが、国鉄時代と全く同じ使われ方をしているのは、相当凄い事です。
16時05分 下館駅を発車
SLもおか号では、静かにゆっくりと加速して行き、速度が上がるにつれて、ドラフト音が聴こえるようになってきますが、
このDE10牽引の客レでは、発車と共に機関車から「ドドド」って重低音のエンジン音、「キュイーーーン」とターボチャージャーの音が聴こえ、SLと比べると勢いよく加速して行きます。
乗り心地も、SLではガコガコ前後に揺れるような感覚がありましたが、DE10牽引では、とにかく引っ張られるような感じでした。
窓が開けられた車内には、軽快なジョイント音が響いて聞きます。
そして車内を見てて面白いのが、車内が日常の雰囲気となっているところです。
SLもおか号は観光列車であるため、車内で会話がはずんだり、景色を見ている方ばかりで非日常の雰囲気でしたが、
この列車は日常の普通列車であるため、車内の乗客はスマホや本を見たり、まさに日常の雰囲気となっています。
客車列車で、日常の光景が見られるのも、令和に日本では、極めて貴重な存在では無いでしょうか。
列車は、下館二高前駅を通過して、折本駅に到着。多くの車が行き交う国道294号線の横で、客車列車は静かにたたずむように停車しています。
久下田駅では、構内踏切を塞ぐ形で列車が停車。
ここで反対方向の下館行きの列車とすれ違いますが、この状態では下館方面ホームに行くことができないため、
「下館行きに乗車される方は、列車の発車後に踏切を渡ってご乗車ください」と案内をされていました。
列車は、昔ながらの雰囲気で佇む、寺内駅を通過。
この寺内駅は、SLもおか号停車駅のため、乗りながら通過できるのは、この客車の普通列車のみです。
そして「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムが鳴り、真岡駅の到着放送が行われ、列車は真岡駅下りホームに入線します。
到着時刻は、16時33分です。
真岡駅到着後、車庫から出庫してきたモオカ14の普通列車が、茂木方から入線し縦列停車します。
6分の乗換時間で、16時39分、茂木行きが発車しました。
車庫への入庫の様子
茂木行き発車後、入換作業が始まります。
茂木方面へ一度発車し、その後本線上にて停車。
折り返し後、ホーム横の側線へ入線。
側線到着後、すぐに50系客車から、SLとDEの両方が切り離されます。
つまり50系客車は、このままホーム横の側線に留置されるという事になります。
SLは、機関庫の中を経由して転車台に移動し、方向転換が行われてから、機関庫へ入ります。
DE10は、再び側線に入ったのちに、SL機関庫の目の前にある別のピットに入線し、今日の運行を終えます。
これらの入換作業が全て完了したことによって、今日のSLは、運行を終えたという事になりますね。
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別途、SL整理券(500円)を購入すれば、SLもおか号にも乗ることができます。
今回は、関東鉄道を使って下館まで行き、そこから今回の真岡鉄道・SLもおか号(往復)に乗車しました。
このときわ路パス、なんと取手から茂木までの片道を移動した時点で、元が取れました。
SLもおか号と紹介した普通客レの運転日は、土日だけですので、乗りに来られる方はぜひ、ときわ路パスをご活用ください。
おわりに
この乗車券のみで乗れる普通客レに興味を持たれた方。
気軽に乗ることができるSLもおか号や、真岡駅SLキューロク館などとセットで、ぜひ訪れてみてください。
SLもおか号自体も、整理券が500円と大変安く。空席があれば、当日に予約なしでも乗車可能で、予約で満席になる事も滅多にないため、本当に手軽にSL列車に乗車できます。
ほぼ原型の50系そのものも貴重ですので、客車列車に乗りたくて乗りたくて仕方がないという方には、手軽なので本当に本当におすすめです。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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