東京方面からの上越新幹線や、庄内・上越・会津からの各列車を束ねる柳都のターミナル、新潟駅。
そんな新潟駅は、1904 年(明治37年)5月3日の開業から、今年で120周年を迎えました。
新潟駅の開業120周年を記念して、5月11日(土)・12日(日)に運行されたのが、快速新潟駅開業120周年号です。
同快速列車は、高崎支社のSLに使われる旧型客車6両を用いて運転され、さらに通常のSL運転では見られない、最高速度95kmを出し続ける、爆走運転を行うとして話題になっていました。
今回は、新潟駅開業120周年号の復路に乗車したので、その様子をお伝えします。
新潟駅開業120周年記念号の表定速度は驚きの61.7km/h
この快速新潟駅開業120周年号の特徴ですが、旧型客車がとんでもない速度で走るところです。
先に感想を言ってしまうと、速度を出せる区間では、ひたすら最高速度95km/h近くで飛ばしていました。
ここで往路・復路の時刻と、表定速度を見て行きましょう。
往路の時刻
停車駅 | 着発時刻 |
---|---|
越後湯沢 | 11:00発 |
長岡 | 12:00着 12:02発 |
新津 | 12:45着 13:10発 |
新潟 | 13:27着 |
所要時間:2時間27分
表定速度:55.0km/h =134.7km÷147分×60
復路の時刻
停車駅 | 着発時刻 |
---|---|
新潟 | 13:57発 |
新津 | 14:14着 14:23発 |
長岡 | 15:03着 15:05発 |
越後湯沢 | 16:08着 |
所要時間:2時間11分
表定速度:61.7km/h =134.7km÷131分×60
停車駅と表定速度から、とんでもなく早いことが分かる
停車駅はわずか4駅と、上越新幹線より停車駅が少なく、かつ表定速度が60km/hに近い事から、圧倒的にスピードを出すことがお分かりいただけるでしょう。
しかも、JR東日本の現役の旅客車両の中では、最古参級の客車が信越本線・上越線をかっ飛ばすのですから、凄まじい事この上ないです。
新潟駅開業120周年記念号の組成
今回の新潟駅開業120周年号の組成を、牽引機関車を含めて紹介します。※使用されなかった客車1両も紹介
2024年現在、ぐんま車両センター(高崎支社)には、7両の旧型客車が現存し、今回はその内の6両が同列車に使用されました。
越後湯沢・上野方↑ | ||||||
号車 | 車両 | 製造年月 | 塗装 | 台車 | 座席の色 | 備考 |
EF64 1053 | 高崎所属 | |||||
1号車 | オハニ36 11 | 1955年12月 | ぶどう色2号 | TR52 | 青色 | 無し |
2号車 | オハ47 2246 | 1954年9月 | ぶどう色2号 | TR23H | 緑色 | 無し |
3号車 | オハ47 2261 | 1952年4月 | ぶどう色2号 | TR23H | 緑色 | 無し |
4号車 | スハフ42 2173 | 1953年8月 | ぶどう色2号 | TR47 | 赤色 | ラウンジカー |
5号車 | オハ47 2266 | 1952年7月 | ぶどう色2号 | TR23H | 緑色 | 無し |
6号車 | スハフ42 2234 | 1954年7月 | 青色15号 | TR47 | 緑色 | 無し |
EF64 1030 | 新潟所属 | |||||
新潟方↓ |
脱車 | スハフ32 2357 | 1938年12月 | ぶどう色2号 | TR23 | 青色 | 無し |
高架化がほぼ完了した新潟駅
2022年6月5日に在来線全ホームの高架化が完了。
今年2024年3月31日に、高架下交通広場が供用を開始し、新バスターミナルが使用されるようになった新潟駅。
旧万代口駅舎の解体、再開発が進み、あと1年ほどで新潟駅が完全に完成します。
新潟駅開業から120年。在来線ホーム高架化は、新潟駅の長い歴史の中で、上越新幹線乗り入れと同じくらい…それ以上の大きな出来事です。
今回乗車する新潟駅開業120周年号は、4番線からの発車です。
ホーム上の発車案内表には、LED職人が書いたEF64が描かれていました。
本題とはあまり関係ありませんが、今回は、クラブツーリズムさんのツアー参加で乗車しています。
13時42分 4番線に入線
13時42分、新潟車両センターから出庫してきた、新潟駅開業120周年号が多くのギャラリーに見守れながら入線してきました。
新潟駅の配線およびダイヤの都合上、往復ともに新津~新潟間は、プッシュプル運転となります。
旧型客車の制動に使用されている、鋳鉄制輪子から「キッキーキーズルズルゴリゴリゴリゴリ」と大きく音を立てて停車。
新潟の新しい高架ホームに、いい意味で似つかわしくない制輪子軋み音が響き渡ります。
停車直後、ブレーキ操作で客車が動き「ガシャンッ!」って連結器から衝撃音が響きました。
爆走運転ももちろんですが、真新しいホームに、古い旧型客車が停車する光景はすさまじいところ…
今回の列車のために、専用のサボ(サイドボード)が取り付けられていました。
というわけで、到着から5分ほどで、ドアが開き乗車します。
今回乗車したのは、3号車の「オハ47 2261」です。
この高崎の旧型客車は、2020年4月によりレトロな木目調にリニューアル。
車内はキレイになりつつも、照明などは電球色に変更され、雰囲気が旧客末期の頃から登場時に近づきました。
新潟駅開業120周年記念号復路乗車記「旧型客車本気の爆走」
新潟駅発車 小林幸子さんに「いってらっしゃい」と見送られ出発
13時57分 新潟駅を発車しました。出発セレモニーを行っていた小林幸子さんと目が合い、「いってらっしゃい」と見送られました。
今回のセレモニーを行った、超大物歌手で我らがラスボスの小林幸子さんは、新潟市のご出身です。
高架化工事で高いところを走るようになった信越本線・白新線からは、朱鷺メッセ コンベンションセンターが見えます。
朱鷺メッセ、万代島ビル31階にある「Befcoばかうけ展望室」は日本海側随一の高さを誇る地上約125mに位置しています。
これは圧巻です。その後、自分が知っている旧型客車とは思えないスピードで駆け抜けていきます。
その動画は、新津駅発車後の最もスピードが出る区間で紹介します。
今回は、いつも通りのろくでもない仲間たちと共に、酒を呑まされながらお送りいたします。
また冷房は搭載していないため、窓は空いた状態で、風を浴びながら行きます。
新津駅14時14分着 機関車解結のため9分停車
気動車の拠点で、鉄道の街である新津駅に到着しました。
ここでようやく落ちついて先頭車を撮影できました。
ヘッドマークの特別感がたまりません…
サボを映えるようにパシャリ…
写真を撮った後、急いで最後尾に行き、解結された機関車を見て、また急いで車内に戻ります。
9分停車し、14時23分新津駅を発車。ばんえつ物語号が走る磐越西線と分かれます。
恥ずかしながら、ばんえつ物語号には乗ったことが無いので、今年中に乗ってみたいところです…
その後、時折カーブはあるものの、基本的には飛ばせる直線区間が続きます。
信越本線の区間では、当然のように、90kmで駆け抜けていきました。
旧型客車の照明の電源は、車軸発電機と繋いだバッテリーから供給されます。
12系や14系客車と異なり、発電用エンジンの音がないため、開けられた窓と共に、レールや台車からの音がダイレクトに伝わってきて、非常に迫力がありました。
乗車中のオハ47が履いているTR23H台車は、枕バネは板バネの台車。
軸間距離が2450mmと長軸距のため横揺れは少ないものの、ジョイントからの衝撃は比較的ダイレクトに伝わってきます。
保線状態はいいとはいえ、速度感も相まって、アトラクションに乗っているかのような感覚でした。
15時03分 長岡到着 宮内でクラツーの185系団臨を追い抜かす
新津からわずか40分で、長岡に到着。本当にあっという間でした。
2分の停車で、長岡駅を発車し上越線へ進みます。旧長岡機関区のELを見ることが出来ました。
上越線と信越本線が分岐する宮内駅では、クラツー添乗員から案内もあった、185系の団臨列車を追い抜かしました。
上越線に入ってからも、安定の爆走っぷりです。
上越線に入ってからは山がちになるため、トンネルを通過します。
トンネルに入ると、ジョイント音がより車内に響き、開いた窓からひんやりとした空気が入ってきます。
SLだと排煙が入ってくるため、窓は開けられませんが、今回はEL牽引のため堂々と窓を開けられます。爆走している中、トンネル内で窓を開けて走行も、これまた貴重な経験となりましたね…
16時08分 終点:越後湯沢駅到着
長岡駅からわずか1時間で、越後湯沢駅に到着です。到着ホームは、3番線でした。
列車が発車するまでの少しの時間、オハニ36 11を撮影。
到着から10分ほどで、車内照明が消灯し、ドアが自動で閉まります。
おわりに
今回の列車の趣旨が、新潟駅開業120周年を記念する事のため、新潟支社管内で運行を終えましたが、このまま回送されるのなら、高崎まで乗せてほしいと正直思いました。
新潟支社と高崎支社を跨いだ場合の乗務員手配の難しさや、上越国境区間:清水トンネル(上り線)・新清水トンネル(下り線)での保安上の問題など、様々な課題があり難しいところですが、高崎から新津や新潟までの通し運行があったら、面白いなとは思います。
上越線全線を走破する、EL牽引爆走客レが運行される機会を願います。
参考資料
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と言っても、するとしたら12系客車にはなりそうですが…